直也とはるか

writeen by 後藤輝鋭


 11月の下旬、シベリア上空に高気圧が張り出し、つい最近まで暖かかったのが一気に冷え込んだ。ここ最近、北風が強くなり、外へ出てもコートやジャンバーを着た厚着の人が増えた。
 そんな日が続き週末、まるで楽しい日曜日を迎えるかのようにお日様がさんさんと輝いている。冷たい北風も昨日までとは違い、あまり強くなかった。
「むぅ、今日は暖かいな」
 10時。岩崎 直也は家の近くにある私鉄の駅に立ってつぶやいた。長身の体にジャンパーを着て、少しだけ寒そうにポケットに手を入れて青空を見上げた。うっすらと雲が出ているが晴天と言えるだろう。自然と気分も明るくなる。
 今日は大切な恋人、大野 はるかと会う約束をしている。そのため、いまからはるかの家へ行くのだ。はるかの家は私鉄とJRとが合流するターミナル駅の向こうがわの山にあるマンションだ。以前は近くへ住んでいたらしいが、マンションを買って引っ越し、中3の時は転校せず、わざわざ私鉄に乗って通っていた。
 直也はまもなくやってきたJR駅前行きの電車に乗った。座席は大方埋まっており、反対側ドア近くに立った。車内はこれから街へ出かけるのだろう、日曜日らしくカジュアルな格好をした人がたくさん乗っている。親子連れが多く、子供はにこやかにはしゃいでいる。10分ほど電車に揺られ、やがて電車は終点の駅に着いた。つい最近新しくなった駅を初めて見るので、すこしまわりを見渡して、改札口へ行き駅前へと出る。目の前の開店したばかりの駅ビルには人が集まり始めていた。
 直也はそれをちらっと見ながら地下街併設の地下通路を通り、駅の反対側へ出た。向こう側とは違い、大き目のバスターミナルとホテルが建っているだけで、人もそれほどおらず閑散としていた。北側にあるため、太陽は新幹線駅ビルの高架にさえぎられ、こちらは少し肌寒い。直也はすたすたと歩き、車がひっきりなしに通る国道を渡って、神社の横の坂道を登った。しばらく行くと、はるかのマンションへとたどり着く。
 オートロックの入り口で、3階のはるかの家を呼び出す。ほどなく、誰かが出た。
「どちらさまでしょうか?」
 はるかの母親だ。
「あ、岩崎です」
「あぁ。はい、どうぞ」
 すぐに自動ドアが開く。すぐある階段で3階へ上がり、しばらく進む。そして、はるかの家の玄関を開けた。
「おはようございます」
「は〜い、どうぞ。上がってください」
 はるかの母親がやってきた。
「おじゃまします」
 直也は靴を脱いで揃える。そういえば、はるかの姿が見えない。
「ごめんなさいね、はるかまだ寝てるのよ。起こしましょうか?」
 直也とはるかの高校は別で、はるかはバドミントンをやっている。昨日は帰りが遅かったらしく、まだ寝ているようだ。
「あ、いいですいいです。ぼくが起こしますから」
 直也ははるかの母親に少し笑って言った。直也とはるかの関係は、もう両家族に十分知られている。はるかの両親も兄も公認しているのである(じゃなかったら直也にはるかを起こさせようとはしないだろう)。中学時代からの付合いで、卒業して直也は近くの工業高校へ、はるかは電車で20分の所にある女子高へ通っている。ちなみに、はるかの兄は直也の中学時代のクラブの先輩で、この家庭とは(直也が個人的に)付合いが深い。
 直也は静かにはるかの部屋に入って、そ〜っとはるかのベッドに近寄った。カーテンが引かれ薄暗い部屋のベッドに、もこっとなった布団。はるかは布団に深々と入って寝ていた。
「はるか〜、朝だぞ〜。起きろぅ」
 はるかの体がぴくっと動いた。直也がやわらかいほっぺたをつんつんとつつく。
「…ふみゅ〜ぅ〜っ…ん…」
 はるかが目を覚ました。薄目を開けて、しばらく直也を見た。まだ寝ぼけているのだろう。
「…あ、…ごめん。もう来たんだ…」
「おはよ」
 はるかが完全に目を開け、起きあがった。直也はカーテンを開けた。太陽の光がはるかの部屋に入る。
「いい天気だぞ」
「う〜…、いま何時?」
「ん?10時20分。眠いか?ごめんな」
「ううん、いいよ。…ほぇ〜、ちょっと寝すぎちゃったかなぁ」
 ショートカットの髪はねぐせでぼさぼさになっている。直也はベッドの上のはるかの隣に座ると、頭をゆっくりと撫でた。
「クラブ、頑張ってるみたいだな」
「ん? うん」
 はるかがあくびをしながら髪をかく。そして、手ぐしでさっさと整える。整えるといっても、とりあえず格好だけである。
 トントン!
「ふぁーい」
 ドアをノックした音を聞いて、ぽけーっとした感じではるかが答える。ドアが開き、はるかの母親がひょこっと出てきた。
「あ、起きたんだ。今から出かけてきますから。はるか、鍵お願いね。じゃあ、直也君おねがいしますね」
「あ、はい」
 パタンとドアが閉まり、程なく玄関の閉まる音と、はるかの部屋のすりガラスの向こうを通って行くのが見えた。はるかは、ベッドから出るとパーカーを着た。


コポポポポポポ
 はるかがお湯を沸かして、紅茶を入れてくれた。はるかの家のリビング。低く昇っている太陽の光が入りこみ、リビングを明るく照らしていた。テーブルに直也とはるかが向かい合う。直也はジャンバーを脱いで、軽装になっている。部屋は太陽のおかげで温かい。はるかは、パジャマの上にパーカーを着たまま。髪も整っていない。
「ごめんね〜、散らかってて」
「あぁ、いいよいいよ」
 はるかがテーブルの上に載っているものを寄せる。直也が紅茶をすすった。
「今日どこいこっか」
 はるかがニコニコして聞いてきた。出かけるのがうれしいみたいだ。
「どっか行きたいところあるか?」
「うーん、あんまり、街中には行きたい気分じゃないなぁ…」
 はるかが紅茶を一口飲むと、オーブントースターの辺りを探し始めた。
「あ…パンがない…」
 キッチンの下においてあるゴミ袋を見ると、パンの空き袋が捨ててあった。
「直くん、朝ご飯食べたの?」
「いや、食ってないよ。ほんなら、外で食わんか? 駅のパン屋で買って、川沿い辺りでさ。天気いいし」
「あ、いいね。それ。よし、そうしよ」
 はるかが紅茶を飲み干すと、立ちあがってリビングを出ようとした。
「着替えてくるから、ここにいてよ。来ないでね」
 にっと笑いながらはるかが言う。いたずらっぽい、そういう表情だ。
「はいはい、わかってますわかってます」
 直也が笑う。まだ体を交えていない関係だし、そういうのには恥ずかしさがあった。時期相応でできる。とふたりとも思っていた。


 11時ごろ、ふたりは家を出て駅ビルへと向かった。はるかはきちんと着替えて髪も整っている。ジーパンにチェックのシャツを着たはるかは、ボーイッシュに見える。背は165センチあり、高い方なので、180センチの背を持つ直也と並ぶとけっこう似合っている。バドミントンでも、試合に出るほど活発なのでよけいそう感じた。ふたりは地下道を通って、地下から駅南口の駅ビルへ入った。
「ちょっといいか?」
「うん、なに?」
 1階にあるパン屋を通り越して3階の駅にあるにしては大きい本屋へ入った。直也は資格試験の本が立ち並ぶ場所へ行って、しばらく見まわした後ひとつの本をとった。
「なに? それ」
 はるかが、直也のとった本を覗く。
「工業系の資格の勉強ができる本。資格とかなるべくたくさんとっとかんとな」
「ふ〜ん。でも、中学の時は英検とかとってなかったよね」
 本を開いて中を確認している直也の顔をぐいっと覗き込みながら、はるかがにやっと笑う。
「ん…まぁな」
 直也は少し苦笑いした。その本を買うと、再び1階へ降りてパン屋へ入った。二人とも思い思いのパンをいくつか選んだ。
「俺が払うよ」
「え、いいよ。私も払うって」
「いいのいいの、今日くらいワリカンじゃなくてもいいじゃない」
 直也がはるかの背中をぽんぽんと叩いた。


 駅前の広場を出て、5分ほど歩くと公園が整備された川沿いへ出る。ふたりは日当たりのいいベンチへ座って、さっき買ったパンを食べ始めた。
 久しぶりのデートで、会えなかった間にあった他愛の無い話をする。なんだかんだとしばらく話をして、直也が時計を見ると1時半だった。まさに小春日和と言うぽかぽかと暖かい陽気で、心地よい風が吹いていた。


 ふたりは、私鉄が通っているすぐ横の橋を渡って、JRの線路沿いへ出た。駅の近くのため、警手のいる大きな踏切を渡り、暖かい日和を感じながらはるかの家へと戻った。
「んで、何する?」
「そういえば、何も考えてなかったよね」
 ふたりとも、ベッドの上に並んで座っている。ふと、ふたりの目があった。
「……ど、どうしたの?」
 はるかが照れる様に笑って言った。
「あぁ…い、いや別に…」
 なんだか、おかしい雰囲気が流れている。それはふたりとも感じていた。
「な、直くん、言いたい事、あるんじゃない?」
「そ、それは…はるかだってあるんじゃないか…?」
 直也も恥ずかしそうに言う。2分くらいだろうか、しばらく沈黙が続いた。直也は、はるかの手の上にそっと自分の手を重ねた。暖かい、はるかの体温が伝わってきた。
「な、直くん…」
 はるかが、直也の目をしっかりと見つめる。
「はるか、嫌だったら、嫌って言ってくれよ」
「え…」
 はるかが答える間もなく、きゃっ! という声と共に、体をベッドの上にどすんと寝かされた。直也ははるかの腕を持ったまま、倒した反動で反対側へ入れ替わった。
「嫌か?」
「ううん、嫌じゃない。…うれしい」
 ふたりは、ぎゅっと抱き締めあい、そして唇を重ねた。二人が背中に手を回してぎゅっと抱き合う。
 直也が口を少し開けて、舌ではるかの前歯をつつく。目をつぶったはるかは、ぎこちなくその前歯を開き、直也の舌を受け入れた。そして、自分の舌を絡めあった。
「んっ…むふぅ」
 はるかから吐息がこぼれた。顔は少し紅潮し、直也も興奮している様だった。ふたりは、ゆっくりゆっくり舌を絡めあい、二人の唾液を分け合った。普通のフレンチキスなら何度もやっているが、初めてのディープキスにふたりの心はかなり高ぶった。
 直也が、口をすぼませながらはるかの唇から離れた。ひとすじの糸がふたりの間に架け渡され、ぷつんと切れた。
「はるか、いいのか?」
「…うん」
 はるかがにこっと笑って答える。そしてふたりは、また唇を重ね合わせた。


 ベッドの上に横たわったはるかの、上着のボタンをひとつずつ外し脱がす。
「ばんざいして」
 直也の言う通りに、はるかがばんざいをする。ふたりとも、楽しそうな恥ずかしそうな表情をしている。下に着ていたTシャツを脱がすと、白い飾り気のないブラジャーだけが現れた。そして、ズボンも脱がす。
「ねえ」
「何?」
「私だけこんなかっこうするの?」
「わかってるよ」
 はるかが少し恥ずかしそうな表情で言った言葉の意味を、直也はわかりきっていた。
(『直くんもはやく脱いでよ』って事だよな)
 直也はぱっぱと着ていたものを脱いで、トランクス一枚になる。
「で、いいのかな?」
 直也が、さっきの質問を問い返す様な表情ではるかに聞く。
「うん…。やっぱり、大きくなってるんだ」
 ん?と直也がはるかの視線の先を見ると、そこに大きくなった自分の息子の形がはっきりと姿をあらわしていた。
「そりゃそうだ。大好きなはるかとこんな事が出来るんだから」
 そう言うと、再びはるかの唇を吸い取った。
「ん…」
 さっきよりも激しいディープキス。互いに舌をからめあい、唾液を交換する。
「くふぅっ」
 口を離すと、はるかから吐息が漏れた。直也がブラジャーを外そうとしたのを見て、はるかが口をあける。
「私、胸ちっちゃいから…」
「…俺はな、胸が大きいとかちっちゃいとかで好き嫌いはしないよ。俺ははるかの全てが好きなんだ。だから、胸が大きかろうが小さかろうが関係無いよ」
 直也がはるかの背中に手を回して、ホックを外す。そして、はるかの体からブラジャーを取り去った。そこには、確かに標準サイズよりも下回ったはるかの胸があったが、直也にとって大きさなどどうでもいい事だった。
「あ…、直くん…」
「はるか、かわいいよ。とってもすてきだ」
 直也は、はるかの胸を口に入れた。
「あぅんっ…」
 小さいけれど、やわらかいはるかの胸。感度はものすごくいいらしい。すぐに乳首が立ってきた。
 舌で固くなった乳首をころころと動かし、もう片方は手でこねくり回す。
「あぁっ…」
 はるかは身をくねらせて、快感に耐える。直也はひとしきり胸を愛撫すると、視線を大切な場所へと移した。
「…やっぱり」
 はるかの大切な場所は、すでにしっとりと濡れていた。白いショーツは、秘所から分泌された液により、しっかりと濡れていた。
「ちゃんと濡れるんだ。普段オナニーをやってる証拠だね」
「あぁん、へんな事言わないでよぉ」
「でもそうなんでしょ? いつもどんな事考えながらやってるの?」
「それは…。言わなくてもわかるでしょ…」
 はるかの頭の中は、毎晩毎晩欠かさずにやっていた恥戯を思い返していた。もちろん、いつも頭の中にいたのは自分の目の前にいる男。
 直也の指が、ショーツの上からはるかの秘所を撫でる。
「きゃぅん!」
「…すごい。はるかって、いつもこんなに濡れるの?」
 はるかのショーツは、あそこの部分だけがかなり濡れてぴちゃぴちゃになっていた。
「そんなに濡れないと思うけど…わかんない。でも、そんなに濡らしたのは直くんだよぉ」
「そりゃ…な。だけど、はるかがえっちな女の子でよかった」
 直也の指が、ショーツの隙間から秘所へ直接触れる。
「あぁぁっ!」
 はるかがびくっと震え、また愛液が出てきた。指は大切な部分をつつーっと撫でる。そのたびに、はるかの口から、せつない声が出てくる。
「脱がすよ。恥ずかしい?」
「えっ…恥ずかしいけど。…いつもわがままいってるのは私だから、直くんの好きなようにしていいよ。私、直くんが好きだから」
「わかったよ、はるか」
 直也の手が、はるかの腰に添えられ、最後の砦となったショーツをするっと脱がした。はるかは、顔を真っ赤にしながら目を半分あけて、直也の事をじっと見ている。そして、直也は閉じられた脚をそっと開いた。
(わぁ、すごい。これがはるかの一番大切な部分なんだ)
 はるかの秘所は、直也が思っていたよりもきれいで、可愛らしかった。はるかは、陰毛もそれほど多くなく、またあそこはきれいな形をしていた。上の方には、大きくなったクリトリスが、ぴょこっと頭を出していた。
「はるか、きれいだ。すごくかわいいよ」
「え、…ほ、ほんとに?」
「あぁ、えっちなはるかも、ものすごくかわいい。はるか…愛してるよ」
 直也の顔が、秘所に近づく。そして、舌が愛液でぐっしょりと濡れた大切な部分を襲った。
「あぁぁぅっ! あん!」
 今まで味わった事の無いような快感が、からだ中を駆け巡った。まるで電流を受けたかのように、からだがビクンと跳ねた。
 ちゅぱっ…ちゅっ、ちゅっ
 直也の舌は、はるかの筋を割り開き、その中をぐりぐりとかき回す。そして、一番感じる所。クリトリスを舌先でころころと愛撫する。
「くふわぁっ! あぁん! 直くぅん!」
 他人にはじめて愛撫され、初めてあじわう気持ち良さに、はるかは思考が停止してしまいそうだった。この快感は、小学6年生の時に自慰に目覚めた時の快感にも似ていた。だが、自分の手でやるよりも、ものすごく気持ちがいい、依存症になりそうなくらいの快感。大野 はるか。実はけっこうえっちな女の子だった。
 直也に愛撫されはるかはだいぶ濡れていた。ここで、はるかのえっちな欲望が顔を見せた。
「直くんだけずるい…」
「え?」
「わ、私にもさせてよぉ…」
 はるかはそういうと置き上がって直也の腰に手をつけた。
「え? ま、マジで?」
 直也がそう言うまもなく、はるかはトランクスを一気に脱がした。直也の大きくなったモノが、ぴょこんと顔を出した。
「おっきい…。やっぱり、直くんも男なんだね。直くんにこれ出来るなんて、夢みたい」
「でも、本当にやってくれるの?」
「うん。…するよ」
 はるかが、直也のモノにちゅっとくちづけをする。
「あっ…」
 まるでキャンディーにでもしているみたいに、はるかがモノをぺろぺろとなめる。
「あぁぁ、はるか。す、すごい…き、気持ちいい」
 今度は直也がベッドに寝転がって、快感を味わう。自分の手以外のものが、この怒張したモノに初めて触れた。はるかの唾液につつまれて、びくびくと震えるほど気持ちがいい。
 ちゅぴゅっ…ちゅぷっ…
 モノを口にくわえて動かす。根元から玉の袋までも吸って愛撫する。さすがはえっちな女の子。それなりのテクニックは知っているようだ。
「あぁっ、はるか。それ以上すると…出ちゃう」
 直也がはるかを離した。
「直くん、来てもいいよ…」
「え、…いいのか?」
「うん…。直くんが大好きだから…」
 はるかがさっきのようにころんと寝転ぶ。直也は秘所へギンギンに固くなったものを押し当てた。
「痛くて痛くてどうしようもなかったら言ってな」
「うん」
 直也がはるかの腰に手を添えて構える。
「力抜いて、楽にして」
 直也がはるかの髪を撫でる。
「いくよ」
 ぐっと腰を入れた。
 ……!
「あっ…」
 ぐぐぐっと押し入れる。そして、根元までしっかりと入った。
「はるか…入ったよ。大丈夫?」
「うん…。ちょっと痛かっただけだから。…処女喪失って、私は思ってたよりそんなに痛くなかった…」
「処女喪失も十人十色だよ。はるかは、そんなに痛くないほうだったんだよ」
「でも、直くんとひとつになれたんだ。…うれしい」
 はるかの瞳から、うるんでいた涙がぽろぽろっと流れ出た。
「あぁ、オレもうれしいよ」
 ふたりがつながったまま抱き合い、キスをする。
「直くん、…あのね」
「なに?」
「思ってたよりも痛くないけど…、やっぱり痛いからやさしくしてね」
「あぁ、わかってる…。でも、オレの方がもたないと思う…」
 直也の方も初体験であるため、はじめての挿入でもう長くない。
「はるか…。大好きだよ」
「うん、私も大好き…。直くん…」
 ふたりがつながったままぎゅっと抱きしめあう。
「直くん、遠慮しないでいっていいよ…」
「うん、…もう限界。…くぅっ」
 ついにその締まりに耐えきれなくなり、直也は腰を引いた。だが、完全に出る一瞬早く精液が放出された。
「うぁっ!」
 びくっ!びくっ!びくっ!
「はぁっ、はぁっ」
 はるかのおなかの上に、白い精液の大半が放たれ、直也ははるかの脚の間で放心状態になっていた。


「これくらいなら、大丈夫だと思うけど…」
 出し遅れのため、精液がほんの少しだけ膣の中に入っていた。はるかがあそこを広げて、直也がティッシュで拭き取る。
「ごめん。あんまり気持ちよかったから、つい長く入れちゃって」
「いいよ、ちょっとだし。大丈夫だから。…やっぱり、直くんに言っとくべきだったかなぁ?」
「え? 何が?」
 はるかははだかのままベッドを降りる。
「大丈夫? 立てる?」
「うん、もう大丈夫だよ。さっきも言ったけど、そこまでってほどでもなかったから」
 とはいうものの、はるかはすこし歩き辛そうに机まで行き、引出しをあけた。そして、ごそごそと何かを探し、ひとつの封筒を持ってきた。
「へへーん、これ」
 はるかが封筒をさかさまにすると、コンドームが5個くらい出てきた。
「実はね、友達がいつか役に立つって言ってくれたんだ。やっぱり、役に立てるべきだよね」
「…まぁな。高校生だし」
「今度からする時はこれしよーね」
「あぁ、わかった。でも、いつかはな」
「うん!」
 ふたりは裸のまま抱き合った。そして、幸せそうな表情をした。


「ヒマがあったら電話してな、オレもするから」
 いつもの口調で直也が言う。だが、顔には充実感とうれしさが出ていた。
「うん。わかった」
 はるかの顔も同じだった。
「んじゃ」
 直也ははるかのほっぺたにちゅっとキスをした。
「…じゃね!」
 はるかの顔は真っ赤になっていた。直也がドアを開けようとした時。
「直くん」
「ん? なに?」
「…またしようね」
「…ん、あぁ」
 直也は笑って手を振った。

 おわり