・「くりえいた〜」
・第7話「5月 あずさ12歳」


 6時間目の授業が終わって、帰りのホームルーム。明日の授業についての連絡が終わって、籠原先生が教卓の前で話をする。
「…それと、…今日5月11日は、三嶋さんの誕生日だったな」
 籠原先生は、クラス全員の誕生日をきちんと把握していて、帰りのホームルームでそれを言う。休みの間に誕生日を迎えた場合は、休み明けにきちんというという律儀さがある。
「おめでとー!」
「おめでとう、あずさちゃん」
 クラス全員から祝福の言葉をもらって、あずさが少し照れる。
「へへへ、ありがとう」
 にこっと笑ったあずさが、周りの友達に軽く会釈する。あずさも、今日で12歳になった。
 友達のあやたちと一緒に学校を出て、それぞれの家路につく。あずさは、玄関の鍵を取り出して開けて、誰もいない家に向かって帰ってきたことを告げる。
「ただいまー」
「おかえりー!」
「えっ!」
 誰もいないはずの家の中から声が聞こえる。それも、複数。あずさは慌ててリビングへと向かう。
「おかえり、あずさ」
 台所で料理をしている博樹が、あずさを見て言う。あずさがリビングで見たのは、リビングでくつろいでいる自分の父親。そして、台所で料理をしている博樹と、自分の母親の姿。
「え? え? …え?」
 狼狽するあずさ。
「…あずさー。おーい」
 博樹が苦笑しながら、あずさの頭をぽむぽむっと叩く。
「…どうしたの?」
 目を大きく開いて、いまだに状況がよく掴めていないあずさ。
「どうしたのじゃないよ。お父さんとお母さんだろ」
 あずさの今の状況がおもしろくて、笑いを押さえることが出来ずにくすくすと笑いながら言う博樹。
「ははは、あずさ。びっくりしたか?」
 あずさの父親が、なにかうれしそうな顔で言う。
「あずさの誕生日だから、帰ってきたのよ」
 母親が、あずさと目線を合わせて言う。
「…ちょ、…ちょっと待ってね…」
 ひたいに手を当ててしばらく考えるあずさ。
「…お、おかえり」
「うん、ただいま」
 一生懸命状況を理解するあずさに返す両親。
「驚いた?」
「…驚かない方が不思議だよぅ…」
 父親が言った言葉に即答する。
「今まで秘密にしててごめんな、あずさ」
「ごめんね。でも、効果は絶大でしたわね」
 博樹の言った言葉に、相槌を打つ母親。
「…博樹お兄ちゃ〜ん…」
 あずさの目線が、ちょっと違う。
「うぉっとぉっ!」
 あずさの、軽いパンチ。それを避けもせずに受ける博樹。
「知っててやったの?」
「うん。1週間ほど前からな」
「つい今朝、チリから帰ってきてな。おみやげもいっぱいあるぞ」
 と言って、父親が部屋の片隅に置いてある荷物の一群を指差す。
「…す、すごい量だね…」
「ちょっと買いすぎたかしらね?」
 あずさの母親が、顔色ひとつ変えずに言う。
「大丈夫です。食料はうちの事務所に持っていけば、あっという間になくなりますから」
 博樹がはははっと笑いながら言う。
「明日にはまたアラスカに向けて旅立つけど、あずさの誕生日は一緒に祝わないとね」
「そっか…。おかえり、お父さん、お母さん!」
「うん、ただいま」
 あずさが、いつもの元気さを取り戻して父親に抱きついた。


「ハッピバースデーあずさ〜♪」
 親子3人と婚約者ひとり。ハッピーバースデーの歌を歌って、母親が作ったケーキのローソクの火を消す。
「おめでとう、あずさ」
「うん、ありがと。博樹お兄ちゃん」
 博樹が頭をぽむっと撫でて、あずさがうれしそうに微笑む。
「じゃあ、誕生日プレゼント」
 父親、母親、博樹の3人それぞれが、あずさに誕生日プレゼントを渡す。
「ありがとー!」
 手にいっぱいのプレゼントをもらって、満面の笑みになるあずさ。
「それじゃあ、いただきましょう」
「いただきまーす」
 テーブルの上に並べられた料理。博樹の誕生日の時よりも多い。まぁ、4人も居ればそれなりに多くなるが…。博樹と母親で作った料理を、4人が談笑しながら食す。
「そういえば、博樹お兄ちゃんは今日はどうしたの? 朝、一緒に出たでしょ?」
「午前中だけ事務所行って、すぐに帰ってきた」
「ごめんなさいね。協力してもらって」
 母親が、ちょっと申し訳なさそうに言う。
「いえ。社長も、一応理解してくれましたから」
 博樹がそう言うと、父親が少しくすっと笑った。
「…どうかしました?」
「いやいや、…いい社長だなと思って」
 父親は、笑いながら言った。
「ゲームは、どうなんですか?」
「予定通りに進んでます。来月には、マスターアップできるはずです」
 製作は順調に進んで、当初は企画倒れになりかかっていたおまけシナリオも入れることになった。
「まぁ、ゲームっつうても、エロゲーですけどね…」
「エロゲーも、捨てたもんじゃないわよねぇ」
「そうだな」
 母親が言った言葉に、父親が相槌を打つ。
「Kanonを筆頭として、東鳩のマルチシナリオとか、泣けるものは多いものねぇ…」
 その発言に、博樹もあずさも、口あんぐり。
「あれ? どうかした?」
「…あぁ、…いえいえ」
 なんなんだろうなー、この家庭は…。
 食事を終えて、みんなでしばらくの〜んびりとした時間を過ごす。
「それじゃあ、私達は隣で寝てますので」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみー、お父さんお母さん」
 玄関を出て、もともとのあずさの家、すぐ隣の部屋へと両親が行く。と、父親が立ち止まり。
「上川さん」
「はい?」
 博樹の耳元で、こう言った。
「あずさの誕生日ですからね、きちんと抱いてあげてくださいね」
 どこがががっ!
 博樹、盛大にひっくり返る。
「だ、大丈夫? 博樹お兄ちゃん。…お、お父さん、なに言ったの?」
「…ちょっとな」
「いてててて……」
 頭をさすりながら、ゆっくりと起きあがる博樹。
「お父さんに言われなくても、博樹お兄ちゃんはきちんと愛してくれるよ」
 ずどどごごごががががが!
 さっきよりもより激しくひっくり返る博樹。
「…わ、…だ、大丈夫!?」
「…あずさ、…突拍子もない発言を突然するな…」
 博樹が、玄関にぶっ倒れたまま言う。
「…それでは、夜はごゆっくりと。おやすみなさい」
「おやすみ、お父さん」
 ぶっ倒れた博樹を目の前に、父親は隣の部屋へと戻った。
「…あずさ」
「なぁに?」
「…今日は、…激しいぞ」
 ゆらぁっと、気力を振り絞って立ち上がった博樹の目が、…妙に怖い。
「…うん、…わかった」
 マンガであれば大きな汗が顔にくっついているような表情で、あずさがうなずいた。


 ふたりでお風呂に入って、上がってからしばらくのんびりとする。もちろん、お風呂の中でもある程度済ませてたりするんだが。
「あーずさ」
「なぁに?」
 リビングでふたりとも体を寄せ合ってテレビを見ている時。博樹が、あずさの体をきゅっと抱きしめる。
「いいにおいするな、あずさ」
「えへ、…そうかな」
 少し濡れている髪に、シャンプーの匂いが少しする。あずさを後ろ抱きにして、そっと抱きしめる。
「博樹お兄ちゃん…」
 あずさの顔が、少し赤く染まる。
「博樹お兄ちゃんって、こうするの好きだよね…」
「あずさを抱いていられるからな」
 後ろ抱きで抱かれているあずさも、抱いている博樹もここちよさそうな顔をする。
「あずさ、…ここでしたら、…だめか?」
「え、…ここで?」
 あずさの、少し困った顔。だけれど、すぐに微笑んで、
「…うん。…いいよ」
 あずさのほうから、博樹のほっぺたにキスをする。
「リビングでするのって、初めてだよね…」
「…そうだな、…あずさの胸を初めて触ったのも、あずさの部屋だったしな」
 ちょっと昔を思い出すような、博樹の表情。
「あの時は、…べつにもっとしても良かったんだよ」
「…オレはそこまで悪党じゃないからな」
「…へへへ、博樹お兄ちゃんらしいね」
 あずさがくすっと笑う。
「もう、…博樹お兄ちゃんの好きにしていいんだからね」
「そうか。じゃあ、あずさの誕生日だからいっぱい気持ちよくさせてやるぞ」
「うん、さっきよりももっと気持ちよくさせてね…」
 ちょっと紅潮したあずさの顔。
「さっきは、入れずにふたりともいっちゃったからな」
「えへへ…。さっきは、…すごく気持ちよかったんだよ」
「はは、…オレも、すごく気持ちよかった」
 あずさを後ろ抱きにしたまま、キスをする。何度やっても、あずさと肌を重ねるのは緊張するし、興奮する。
「あっ…」
 パジャマの中に手を忍ばせ、あずさの胸をやさしく触る。
「そういえばさ」
「なに?」
「あずさのおっぱい、…少し大きくなってきてない?」
「ふにゅ…。そうかな?」
 博樹の手には、最初触ったときよりも、ほんの少し触り心地がよくなってる気がした。それでも、まだまだ小さいが。
「最近は、胸囲計らないからわからないんだよ…」
「そろそろ、スポーツブラくらい着けた方がいいな」
「かわいいの買ってくれる?」
「うん、好きなの買ってあげるぞ」
 笑うあずさの頭を撫で、パジャマのボタンをひとつずつ外して、上着を脱がす。
「あずさの思春期の成長を、全部見ていられるから、オレは幸せものだよな」
「うん、幸せものだよ」
 キスをしながら、あずさの胸をやさしくやさしく触る。
「ふぁ…」
 お風呂に入ったあとの、すべすべの素肌がものすごく心地よい。
 ちゅっ。
「ひぁ」
 あずさの右腕を上げて、わきの下へキスをする。まだ何も生えていないわきから、ほんのりとふくらみを形作る素肌にキスを続けてする。
「ふぁ…、あ…、あぁん…」
 博樹の口がふくらみのてっぺんに達した時には、すでに先っぽが固くなり始めていた。そのまま、唇で挟んで軽く引っ張る。
「ひゃ、…そ、そんなことしちゃだめだよ…」
 あずさの言葉に、博樹は微笑んでキスをする。そのまま、テーブルの上へあずさの体を寝かせる。
「ひゃん…、冷たい…」
「あ、…ごめんな」
 テーブルがあずさの背中に直接触れて、火照ってきたあずさの体に冷たさを感じさせた。
 博樹はもう一度あずさにキスをすると、再びあずさの胸へと愛撫をする。
「あ…、あぅ…、んっ…」
 両方の胸の膨らみを博樹の口と指で愛撫され、身悶えるあずさ。パジャマの上だけを脱がされ、テーブルの上で身悶える姿は、見ていてものすごくいやらしい。
「あずさ。してほしいことがあったら言って」
「し、…してほしいこと…?」
「うん、どんなことしてほしい?」
 博樹が、やさしい表情で言う。
「ひ、…博樹お兄ちゃんの好きにして欲しい…」
「ホントにそれでいいの? オレの好きにしちゃうぞ」
「…うん、…博樹お兄ちゃんの好きにしてくれれば、私すごく気持ちよくなれるもん…」
 とろんとした目で微笑んで言われると、博樹も弱い。
「よし、…じゃあ好きにさせていただきます、あずさ」
 こくんとあずさがうなずいたのを確認して、あずさをテーブルの上に乗せたまま脚を大きく持ち上げる。
「あ…」
 あずさの脚からズボンをするするっと脱がしてパンツ一枚にする。そして、その脚を横に広げる。
「あずさ、もうこんなに濡れてる…」
 あずさの脚を開くと、秘部のところには濡れたシミがきちんと出来あがっていた。
 くにっ。
「ふわぁぁ…」
 そのシミのところを指で押すと、あずさのかわいい声とともに、くちゅっとした感覚も伝わる。
「お風呂から上がったときに替えたのに、これじゃあまた替えなきゃいけないな」
 博樹がいじわるをするように言う。
「だって、…博樹お兄ちゃんが気持ちよくしてくれるんだもん…」
 いつもとは違う甘い声であずさが言う。
「そうか。…気持ちよくなってくれて、オレはうれしいぞ」
 博樹はそのまま、濡れたパンツのシミに口をつける。
「ふわぁ、…あぁぁ」
 パンツの上から秘部を刺激されるのは、なんとも言えないむずがゆい様な感触を生む。
「はぁぁ…、あ…、ひ、博樹おにいちゃぁん…」
「なぁに?」
「い、…いじわるしないで…。ちょ、…直接」
 そう言って、あずさが自分からパンツを脱ぎ始める。その手が、恥ずかしいのだろう、ぷるぷると震えている。
「あずさ…。…うん、…自分で全部脱いで」
 はぁはぁと息をしながら、あずさが自らの手でパンツを脱ぐ。もう何もつけていないあずさは、さらに自分から脚をM字型に開いた。
「ひ、博樹お兄ちゃん…。もっとして…」
「わかった、あずさ。…いじわるしてごめんな」
 あずさの頭を撫でながら、博樹はキスをする。あずさがこんなおねだりをするのは、もしかしたら初めてかもしれない。ふたりで作った甘美な雰囲気に、あずさの頭が麻痺しているのかもしれなかった。
「んわっ…」
 唇から首筋、胸、おなかをぺろーっと舐めながら、下へと降りて行く。恥丘を通ると、あずさの声とも言えない声が漏れ、再び秘部へと到達すると、なんだかうれしそうな恥ずかしそうな声を上げる。
 何も生えていない、真っ白な秘部を指で広げると、すでに充血した内部が粘っこい液体で満たされていた。
「ひゃぁん…、あふっ…」
 あずさが好きなのは、小さな芽を舌でじっくりと責められること。そうすると、あずさの割れ目からはとろとろとした液体が止めど無く流れ始める。
「はぁ、はわぁ、…ひゃわぁぁ…」
 博樹の舌があずさの秘部を走るたびに、あずさが声を上げる。
 かわいらしい女の子が、愛撫で気持ちを高ぶらせ声を上げるのは、成人女性とは違う魅力があるように思う。なによりも、博樹にはあずさが素直な反応をしてくれるのがうれしかった。
「あ、ぁ…、博樹、ひゃぁぁ…、お兄ちゃ、ぁん…」
 博樹は思い切って、あずさのおしりの穴を舐めてみた。あずさがどんな反応をするか、興味があったのだ。
「そんな所まで、…しなくていいよぉ…」
 見た感じ、イヤではなさそう。
 恥ずかしい所を全面に博樹に見せつけ、あずさにはもう、羞恥心なんて吹っ飛んでいるのかもしれない。
「あずさだから、全部なめてみたいんだ」
「そ、…そんなぁ…、あぁっ…」
 おしりの穴を舐められつづけ、あずさも力が抜けていく。
「きもちいい?」
「ひゃぁ…、き、…気持ちいいよ…。な、なんで…」
「ここも性感帯らしいからな」
「き、きたないのにぃ…」
 そう言っても、博樹はおしりの穴への愛撫を続ける。
「ひゃぅぅ…、あんっ…」
 博樹が思っていたよりも、あずさは気持ち良さそうだった。ただ、…ここはまだ無しかな、と博樹は思った。
「博樹お兄ちゃん…」
「ん? なぁに?」
 あずさの目を見ると、じ〜っと目線が、…博樹の膨らんだものの方へいっていた。
「よし、わかった」
 あずさが何を考えているかが、目を見てだいたいわかる。
「…わたしも、…博樹お兄ちゃんを気持ちよくしてあげたいもん…」
「あぁ、いいぞ。…じゃあ、ちょっと待って」
 あずさがもうはだかだったのに対し、服を着たままだった博樹が全部脱いでしまうと、あずさをジュータン敷きの床の上に下ろして、シックスナインの体勢を取る。
「シックスナイン、…だったよね…、この体位…」
「そういや、初めてやるな…」
 あずさを寝かして、博樹が上。ふたりとも恥ずかしい所をお互いに顔の前に見せつけて、妙な気分。
「うぁっ…」
 あずさが博樹のモノにくちづけをした途端、博樹が思わず声を漏らす。
「あ、…あずさ」
 あずさが一生懸命ご奉仕してくれる光景を見て、博樹も胸いっぱいになる。…そういえば、今日はあずさの誕生日で自分がいっぱいご奉仕するつもりだったんじゃないか、と思い出した。
「ひゃふっ…」
 博樹が再びあずさへの愛撫を始める。あずさに負けないように、執拗に愛撫をする。
「うくっ…」
 あずさも、博樹に負けないように、一生懸命博樹のモノを愛撫する。
「ひゃぁ…」
「ふっぅ…」
「あぅぅっ…」
「ひっ…」
「ひぁぁぁ…」
「くぅっ…」
 ふたりがそれぞれ声を上げる。交互にあげたりする事もあれば、同時に上げることもある。何にしろ、仲の良いふたりだ。
「う…、くっ」
 あずさの愛撫も大した物で、博樹もあずさを愛撫しながら高ぶっていたせいで、だんだんだんだん近づいて来る。さすがは、エロゲーをやりこなしている女の子だ。テクニックだけは知っている。
「ひゃわ!」
 博樹が、あずさの秘部へ指をいれる。
「んっ、んっ、んっ、んっ…」
 博樹のモノをくわえたまま、侵入してくる指に反応するあずさ。博樹が人差し指をゆっくりと侵入させると、ぬぷっと飲みこまれるように入っていく。そのまま、やさしく出し入れをする。
「はわぁぁぁ…、あ、博樹おにいちゃぁん…」
 博樹のモノを握ったまま、あずさが我慢できずに声を上げる。と、思い出したように博樹のモノへの愛撫を再開する。
「うはぁっ…」
 博樹に仕返しするかのような、あずさの愛撫。お互いに、それぞれの秘部を愛撫しあい、互いに気分を高ぶらせて行く。
「ひゃぁふぅぅっ…」
 博樹は指を出し入れしながら、小さくも硬くなって存在を表している芽を、ほかの指で同時に攻める。これにはあずさも、体を震わせながら声を上げた。
「ひぁぁっ! あっ!」
 互いの愛撫の音が、リビングに響く。ねっとりとした液体が、にちゃにちゃとかきまわされる音。モノにキスをして、舌で舐めまわす音。その音が、少し激しくなる。
「あ、あずさ、…オレ、…出るぞ…」
「ひ、博樹お兄ちゃん。…わたしも、…いっちゃいそうだよぉ…」
「い、いっしょに…、な」
 こくんこくんと、あずさがうなずいたのがモノを通じてわかる。
 口と指を使って愛撫をする博樹。口と手を使って愛撫をするあずさ。互いに、互いを気持ち良くさせるために一生懸命になる。
「うっ、うくぅっ…」
「んっ…、んんっ…」
 ふたりが小さくうめき、身を軽く縮めようとする。ふたりが、同時に最後の攻撃! とばかりに激しさを増した瞬間。
「ぐっぅ! うぅっ…」
「んむぅぅっ…!」
 博樹はあずさにモノをくわえられたまま、口の中に白濁液をどくどくと注ぎ込み、あずさは博樹に体を抑えられたまま、体を激しく脈動させた。ふたりとも、仲良く同時に達したのだ。
「はぁ…、あ、…あずさ…」
 博樹があずさの上から退くと、あずさは口を手で抑えて、胸を上下させていた。口の中に出したので、口で息が出来ないのだ。
「大丈夫? 起きあがれる?」
 博樹が言うと、あずさが手で口を抑えたまま起きあがる。秘部はいった衝動で濡れたまま。顔もまだいった余韻が残っている。そういう、ぽーっとした顔で口を抑えているのは、ちょっとかわいらしい。
「あずさ、吐き出していいよ。無理するな」
 博樹がそう言ってティッシュを渡そうとすると、あずさは顔を横にふるふると振る。
「え? …あずさ」
 あずさは、口の中の液体を、こくん、こくんと少しずつ飲むと、最後にぷはっという口をして、にっと笑った。
「…あずさ、飲まなくてもいいのに…」
「…だって、博樹お兄ちゃんが気持ち良くなって出してくれたんだよ…。吐き出したくなかったんだもん」
 ちょっと恥ずかしそうに、えへへ、と笑いながら言うあずさ。あずさがここまでやったのは、初めてのような気がする。今までは、むせたり、博樹の言う通りにティッシュに出したりしていたのに。ただ、博樹にとっては、あずさが口の中の液体をティッシュに出す姿も、けっこうドキドキするものがあったんだが…。
「あずさ、…ほんとに、…あー、もうかわいいっ!」
「きゃっ!」
 博樹があずさを抱きしめて、一緒に寝転がる。
「も〜っ! あずさがかわいくってかわいくってしょうがない」
「えへ、…えへへへ」
 少し恥ずかしそうに、あずさが笑う。博樹にぎゅっと抱きしめられて、頭をなでなでされて、いつもの事だけどこれがすごくうれしい。
「…また、…入れずにいっちゃったね…」
「はは、…そうだな」
「すごく気持ち良かったんだよ…、博樹お兄ちゃんのしてくれたの…」
「そっか、…オレもすごく気持ち良かったぞ。あずさのしてくれたこと」
「へへへ…。ありがと」
「うん、オレもありがと」
 ふたりがちゅっとキスをする。この唇で、お互いの秘部を舐めていたんだが、それはもう気にしない。
「博樹お兄ちゃん2回目なのに、いっぱい出てたよ…」
「あずさがえっちで、かわいくって、気持ち良くしてくれたからな」
 あずさの頭を撫でると、あずさが頬を染めてはにかむように微笑む。
「…もう終わりにする? わたしは、…まだ大丈夫だよ」
「…オレはまだしたいな。…あずさは?」
「…うん、したい。…やっぱり、…入れてほしいな。…でも、3回目だよ。…ホントに大丈夫?」
 あずさがそういうと、博樹はあずさの手を取って、自分のモノに触れさせる。
「こんな感じだからな」
博樹のモノは、すでに元気を取り戻してピーンと立っていた。
「…えへへ、…えっち」
 ふたりが笑うと、再びキスをする。そして、そのまま起きあがり、あずさの上半身をテーブルの上にうつぶせにする。
「…バック、…するの?」
「うん、…イヤ?」
「ううん、いいよ」
 そう言って、あずさは自分からお尻を割り開く。
「…大胆だな、…あずさ」
「えへへ…」
 自らの手で、博樹に見せつけるあずさ。濡れてキラキラと光っている秘部があらわになる。
「入れるよ」
「うん」
 モノを押しつけて、そのままゆっくりと侵入させる。
「あ…、あ…、…あっ!」
 ずぷずぷずぷっと、あずさの中にモノが飲みこまれていく。
「…入ったぞ、あずさ」
「う、うん…。わかるよ…」
 テーブルの上で荒い息をする。何度かしたとはいえ、あずさの中はまだまだキツイ。
「まだ痛い?」
「ううん、…もう大丈夫…。気持ちいいよ…」
「よし、じゃあ、…動かすぞ」
 あずさがこくんとうなずく。小ぶりのおしりを持って、ゆっくりと引き抜く。
「あ、あっ…、あんっ!」
 あずさが汗を流し、テーブルの上で快感から逃れられずに身を起こそうとする。
 ある程度引きぬくと、今度はゆっくりと押しこむ。ぬるぬるの液が、結合部から漏れ出そうとするのがわかる。
「ひぁ、あっ…」
 浮いたあずさの体が、挿入と同時にテーブルの上へとうつぶせになる。
「大丈夫か? …痛くない?」
「う、うん…。大丈夫だよ…。も、…もっとして…」
 続けて、ゆっくりと引き抜き、ゆっくりと押しこむ。
「はわぁ、はわぁぁ…、…あふ、あぅぅっ…」
「くぅっ、うっ…、はぁ…、はぁ…」
 ふたりが腰を動かすと同時に、ふたりから声が出る。
 博樹はあずさの胸を手で掴み、ちょっと激しく動かし始める。
「あぅぅっ!」
 ぐっと突かれた腰から、快感が流れる。博樹はあずさの反応を見ると、より速く動かす。
「はわぁ、はわぁぁ! はわぁぁぁっ」
 博樹に小さな胸を掴まれて、あずさのからだが大きく動かされる。
「ひ、ひ、…博樹、…博樹お兄ちゃぁぁん…」
「どうした? あずさ?」
「ご、ごめんなさい…、も、もう、…い、いっちゃいそう…」
 一度いったら次はなかなか来ない男に対して、女の子は何度でもいける体をしている。それに、いってからそれほど経っていないからだに入れて、激しく動かしたのだ。早く来てもおかしくない。
「いいよ。もっと楽になって。もっと気持ちよくなれるから」
「う、…うん…」
 テーブルの上にからだをべったりとつけて、あずさが体中に流れる刺激に身を任せる。
「ひゃぁぁ! あわぁぁ! あわぁぁっ!」
 博樹が腰を少し激しく動かすと、あずさからは大きな声が上がった。
 あずさには、何か我慢していたさっきとは違って、体中を電気が流れるように快感が駆け巡る。
「ひゃ、あ、あぁぁ…、ひ、博樹、お、お兄ちゃん…」
 何かから逃れようとからだが逃げるような動きを見せ、そのあとに全身を少し縮める。
「ひゃぁぁ…、あぁぅ…」
 からだが少しぷるぷるとけいれんし、博樹のモノをぎゅっと締めつける。
「はぁ、…あぁ…、あっ…」
 動きを止めた博樹が、いったんモノを外してあずさの頭を撫でた。
「大丈夫か?」
「うん、…だいじょうぶ」
 はぁはぁと、まだ荒い息をしたままのあずさが微笑んで言う。
「気持ち良かった?」
「うん、…博樹お兄ちゃんに犯されてるみたいで、いつもとはちょっと違ったよ…」
 バックと言う体位が、そういう気持ちを生んだのだろう。博樹の顔が見えない分、ちょっと不安になる事もあるだろうから、こういう時にしかしないようにしている。
「…まだ出来る?」
「うん、…だって、…博樹お兄ちゃんに中で出してもらいたいもん…。…がんばるよ」
「…ありがとな、あずさ」
 今度は正面からしっかりと抱きしめて、ちゅっとキスをする。
「いくよ」
「うん」
 あずさをテーブルの上に寝かせて、ゆっくりと挿入する。
「あっ…」
 しっかりと濡れているおかげで、小さなあずさでもすんなりと入ってくれる。それでも、きゅうきゅうと締めつけてくる刺激は激しい。
「こっちの方が、わたし好きだよ」
「うん、オレもそうだ」
「博樹お兄ちゃんの顔見られるし、ぎゅって抱きしめれるもん」
「そうだな…」
 あずさのからだを抱きしめて、ほっぺたにキスをしながら腰を動かし始める。
「ひゃ、あっ、あっ…」
 ふたりのからだから汗が流れ、テーブルの上に落ちる。
「や、…あ、…あっ!」
 結合部分ではふたりの愛液が混じり、白く泡を立てる。
「ひ、ひ…、博樹お兄ちゃん…」
「…どうした?」
「も、…もっと…、ぎゅって、…ぎゅってして…」
 あずさが甘美な声を上げながら言う。
「よし、わかった」
 博樹は、あずさの体を抱き上げると床に座って、そのまま抱きしめる。体位で言うと、座位。
「あ、…あ、…博樹お兄ちゃん…」
 あずさ自身の体重のせいで、博樹のモノがより深くあずさの中に飲みこまれる。
「お、奥に…。博樹お兄ちゃんのが当たってる…」
 自分に言い聞かせるように、あずさが言う。そして、博樹のからだをぎゅっと抱きしめ、自らキスをする。
「んっ、…んっ…」
 唇とからだ全体でつながったまま、ふたりが細かく動く。ゆっくりゆっくりと、甘美な空気の中、甘い甘いふたりの関係を象徴するような動き。
「あ、あずさ。…オレ、…そろそろ…」
「う、うん…。わたしも、…もう」
 ふたりのゆっくりとした動きが、だんだん速くなる。
「博樹お兄ちゃん、…わ、わたしの中でいいから…」
「あ、あぁ、…わかった、あずさ…」
 はぁはぁと、荒い息をしたふたりの気持ちが、つながったまま通じ合う。ふたりの腰の動きが同調し、どんどん気持ちも、からだも高ぶっていく。
「あ、あ、…ひ、博樹お兄ちゃん…、も、もう…」
「…うん、…オレも…。…あずさ…」
 ふたりが唇をつなぎ、互いの手を取り合う。そして、ふたりの気持ちもからだも、ひとつになっていく。
『んっ、んっ、んんんんっー!』
 ふたりが唇をつなげたまま、一緒に絶頂を迎える。互いにからだを脈動させ、博樹はあずさの中に自分の分身を放出していった。
「…はぁ…、…はぁ…、…はぁ…」
「あ、…あずさ…」
 仲良く絶頂を終えたふたりは、一度唇を離して微笑みあうと、もう一度キスをした。


「あずさ、ちょっといいか?」
「なぁに?」
 後始末をして、服を着て再びリビングで休んでいたふたり。博樹は、立ちあがって自分の部屋へ戻ると、小さな紙袋と、四角い箱のふたつを持ってきた。
「誕生日って言うタイミングだしな、オレも、決意の証しってのをしたかったから」
「え? 誕生日プレゼントなら、…さっきもらったよ…」
 あずさが首をかしげる中、横に座った博樹が四角い箱の中から何かを取り出す。
「これは、誕生日プレゼントとは別物」
 あずさの左手を持って、博樹がそれを薬指にいれる。
「…博樹お兄ちゃん…」
 あずさの左手に着けられたもの。それは、まぎれもない、指輪だった。
「とまぁ、…そういうことだから、…これからもよろしくな」
 博樹が照れ隠しに、横を向いて言う。
「…博樹お兄ちゃん!」
 驚いた様子で指輪を見ていたあずさが、ばふっと、博樹に抱きついてキスをしてきた。
「…ありがと…、…博樹お兄ちゃん」
 目がうるうるし始めているあずさ。博樹はその顔を見ると、ほっぺたにキスをした。
「ほら、泣くな、あずさ」
「だって、…だって…、…ありがちな展開だけど、…感動しちゃったんだもん」
 博樹に体を寄せたまま、あずさが言う。そんなあずさを見て、博樹はやさしく頭を撫でる。
「でも、…指輪ぶかぶかだね…」
 薬指に入っている指輪を動かしながら、あずさが微笑んで言う。
「そりゃあ、一般的なサイズにしてもらったからな…。…だからな、もうひとつあるんだ」
 博樹はあずさの指輪をいったん外して箱の中に戻すと、小さな紙袋の中からもうひとつの指輪を取り出して、あずさの左手の薬指に入れた。
「こっちはぴったし、だな」
「うん」
 指輪を灯りにかざすあずさ。その顔が、にやーっと、笑顔になる。
「ありがと、博樹お兄ちゃん!」
 また、博樹にキスをする。
「子供向けの小さくて、安いやつだけど、…オレの気持ちはどっちも一緒だから…」
 また、照れ隠しに横を向いて言う博樹。
「こっちは、…ぴったりになってから着けてくれ」
 さっきの指輪の入った箱をあずさに手渡す。受け取ったあずさの左手薬指に光る指輪が、子供向けの安物とはいえどもなにか輝かしい。
「それと、…あずさ」
 博樹がもうひとつ、指輪を取り出す。
「オレのは、…あずさにつけてもらいたい」
「…うん」
 博樹の手から指輪を受け取り、あずさが博樹の左手を取って指輪をつける。
「…えへ、…えへへへ」
 博樹の指輪を見て、自分の指輪を見るあずさ。顔が、頬を染めた満面の笑みになっている。
「えへへへ…。…博樹お兄ちゃん」
「ん? どした?」
「大好き!」
 ぎゅっと博樹に抱きつくあずさ。博樹はそのからだをしっかりと受けとめ、やさしく頭を撫でた。


「上川さん…」
「はい、なんでしょう?」
 翌日の朝。朝早く旅立つあずさの両親を送るために、博樹もあずさもマンションの前まで下りている。少し肌寒い気温の中、あずさの父親が、少し神妙な顔で博樹と話をした。
「…あずさを、…これからもよろしくお願いしますよ」
 あずさの父親に深深とお辞儀をされ、博樹も恐縮する。
「い、いえ。…わたしからも、…よろしくお願いします」
 博樹も深深と頭を下げる。その光景をすぐ近くで見ていたあずさと母親は、ふたりで同時に微笑んだ。
「上川さんに、いっぱいかわいがってもらいなさいね」
「うん!」
 あずさが満面の笑みで返す。
「それでは、アラスカまで行ってきます」
 あずさの両親がタクシーに乗りこみ、マンションを後にする。
「いってらっしゃ〜い!」
 大きく手を振るあずさの左手には、もちろん指輪が着けられている。そして、博樹の左手の薬指にも、きちんと指輪が着けられていた。
「さて…、オレたちも遅れない様に出かけようか」
「うん、そうだね」
 きゅっとつないだ手から、ふたりの仲の良さとやさしさが伝わる。
 今日も、新しい日がまた始まる。


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